高野山の夜

2011/10/16-17

 

人生2度目の高野山、宿坊の夜。

 

鐘の音がいつまでも響く。

それ以外は何も聴こえない。

部屋の障子を開けると、

朱い大塔が闇にぼうっと浮かび上がって見える。

流れる雲の切れ間から

ついに月が照り出して、息をのむ。

 

そのまま…

いつまでだろう。

鐘がやむまで、その空を見つめていた。

 

さっき、足早に、そしてどんどん静かに

夜の奥ノ院へとむかって行った。

降るような星空と

空海さんのその名の通り、

広い宇宙の広がる奥ノ院の夜。

 

高野山は、やはり夜。

 

早朝の清々しさも素晴らしいが、昼に向かうにつれ

白々しく照らし出されていく自分に、少々萎える。

 

 

体を少し縛るような夜の寒さ。

月の眩しさは自在に雲の流れに乗って、

鏡に照らされるように自分が移り変わっていく。

 

 

空海さんと、お話がしたいな

と、いつまでも眠りにつけずにいた。