壬生狂言の子鬼

壬生狂言の最終日に向かう

暮れかかる夕闇に、徐々に舞台が浮かび上がる

 

お面をかぶると人ではなくなる。

 

小さき役者たちの、驚くまでの美しい所作や

にょっとのぞいた生身の腕の異様な印象

 

観客たちの素朴な一体感

おにぎり片手に「ほら、あの子あの端っこにいはるえ。」

お孫さんを舞台に並んだ子鬼たちの中で見つけて、嬉しそうに眺める姿

 

そんな観客たちの会話もBGM

歌舞伎の舞台とは違う

大衆に根差した雰囲気までも伝統的

 

すべて素朴なまでに美しい

 

声を出さずに

単調な鉦と太鼓の音が響く舞台

普段、ともに過ごしているものが、

お面をかぶって豹変する姿を目の当たりにして、

きっと日常に潜む

畏怖するべきものを感じたりしたのかもしれない

 

だとすれば

昔の人たちは、庶民にいたっても

あたりまえに美しかったことだろう

 

憧れをいだきながら、

その子鬼の指先が描く軌道の鋭さに

ほれぼれとしたのだった。

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コメント: 1
  • #1

    Connie Avans (月曜日, 23 1月 2017 09:27)


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