この海にうかぶ

2012.3.8 Tokyo

 

その海の先には、何があるのか

 

地上52階からぼんやり浮かんだ私の視界

 

流れる電車は美しく空中を散歩するかのように

小さなビルの窓の中には

小さなものたちの世界がうごめいていて 

ひとりひとりが寄り添うように生きていて

愛おしい

 

あのおしゃれなビルの窓に見えた かわいい女の子は

もうすぐ仕事を終えて、愛しい彼のもとへと

帰っていくんだろうか

嬉しそうだ

 

いろんな小さな者たちを

安心させるかのように

希望を持たせるかのように

ぼんやりと幻のように立っている東京タワー

きっとあれは蜃気楼みたいなもので、

本当に存在しているとは思えない

 

まだスカイツリーだって私は一度だけ

雲とビルの隙間に垣間見ただけだもの

 

なにもかも幻想のような都会に

行き急ぐひとたちを電車につめこんで

どこに連れていかれることやら

 

はやくおうちへかえりたい